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障害物を避けながら長時間飛行できるケーブル給電マルチコプターを開発

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研究の概要

飛行実験の様子
飛行実験の様子

 大阪市立大学工学研究科機械物理系専攻の今津 篤志(いまづ あつし)講師らのグループは、複数のマルチコプターを直列につなげることで、ケーブルを障害物に引っかけることなく長時間飛行できるケーブル給電手法を開発しました。地上から有線で電源供給を行うケーブル給電マルチコプターは、長時間飛行を行うことができますが、一方でケーブルが柵や建築物に引っかかってしまうという課題がありました。そこで中継マルチコプターを用いることでケーブルの障害物への接触を防ぐため、中継マルチコプターの位置を自動的に計画する手法を開発しました。本研究により、障害物への接触を懸念することなく、長時間マルチコプターを飛行させることが可能となりました。

論文掲載について

本研究成果は、1月15日(月)に『日本ロボット学会誌 2018 vol.36 No.1』に掲載されました。

【掲載紙】 日本ロボット学会誌
【論文名】 地上局とケーブルでつながれた複数のヘリコプターによる
      障害物回避飛行計画に関する研究
【著者名】 今津篤志、出原祥磨、川合忠雄
【掲載URL】 https://www.rsj.or.jp/jrsj/
      ※オンライン掲載は、発刊1か月後となります

<研究の背景>

 現在、マルチコプターの活用範囲が急速に広がっています。バッテリー容量の制限なく長時間飛行を行うためには、地上から有線ケーブルで給電を行う手法がありますが、ケーブルの存在で飛行可能範囲が制限されるという課題があります。特に、目的地点との間に柵や建築物、立木などがある場合、ケーブルが障害物に接触してしまうと飛行に致命的な障害となります。また、遠くまで低空飛行をする場合は、ケーブルが地面に接触してしまう可能性もありました。

参考)2017年8月10日発信プレスリリース
「ケーブル給電マルチコプターの操縦アシスト機能を開発」
http://www.osaka-cu.ac.jp/ja/news/2017/d3ohw8

<研究の内容>



 ケーブル給電マルチコプターを直列に2機接続し、中継マルチコプターでケーブルをつり上げるようにしてケーブルを障害物から遠ざけます。先端のマルチコプターを到達させたい位置と障害物の形を条件として与えると、障害物を避けながら飛行に必要な電力を最小にするように中継マルチコプターの経路を決定することができます。

従来のマルチコプター
従来のマルチコプター

直列ケーブル給電マルチコプター
直列ケーブル給電マルチコプター


◆下記URLにて障害物回避飛行の実験動画をご覧いただけます。
URL:https://youtu.be/EtvYxKYZ-HQ

?<期待される効果>

 中継マルチコプターを用いて障害物との接触を避けることで、これまでケーブル給電マルチコプターを用いることができなかった障害物の上空や、地表に近い空域においても長時間の飛行を行うことが可能となりました。

<今後の展開について>

 周囲に障害物の多い高速インターチェンジの高架の目視検査や、低空を遠くまで飛ぶ必要があるトンネル内の目視検査などへの応用が期待されます。現在は屋内で実験を行っているので、実用化に向けて屋外での実験に取り組みます。